年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「パワースポットでしょ?」

「え?」

「滝とかってさ、パワースポットって言われてるんでしょ?」

「そうですね、言われますね」

 千葉は笑顔で返す。

 滝の音が大きくなってきた。

 橋に差し掛かったところで景色が開け、段になった川が滝になって流れ落ちていく景色が全面に映し出される。

 何人かの人が思い思いに橋の上から滝を眺めている。

 千葉も立ち止まり少し下に見える滝を凝視していた。

 滝の流れる音が心地よい。

 岩が点在していて、いくつかの滝つぼが出来上がっているのが見える。

 長い所で幅2メートル半程だろうか、階段のように4段になったその場所を流れ落ちる滝。

 それほど大きな滝ではないがかなりの間近で見ることが出来るため迫力はある。

 水量もあって勢いも感じる。

 看板を見つけてくれた照永に感謝だ。

「こっちこっち、あそこ」

 照永に声を掛けられ指さした場所を見ると、先ほどまでカップルが立っていた場所が空いている。

「あそこ正面」

 そう言って手招きする。
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