年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 言われるがままに付いていき、その場所へ立って滝を見てみた。

「すごい、カッコイイ」

 思わずそんな言葉が出た。

 見る場所が数歩違うだけでこんなにも見え方が変わるものとは。

 この場所に立つと、滝を正面から見ることが出来る。

 幅の広さも違って見えるし、上から下まで、そしてなだらかな川へと流れゆく様がよく見れる。

 ふと横を見ると照永の姿が見えない。

 探すと橋の逆側に立って、なだらかな川を眺めていた。

 真似をして同じように隣りに立つ。

「魚とかいそうじゃない?」

 そう言われて川面をみると川底がはっきりと見えるほどの綺麗な水が流れていた。

 返事も忘れてじっと川を覗く。

 川底がはっきり見えるが、魚らしきものは見えない。

「これだけ綺麗だったらさ、魚とかいると思うんだよね」

「そうですねぇ」

 そう返事をしながらじっと水の中を探し回るがやはり魚の影は見えない。
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