年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「この辺には見えないけど、ほらあの岩の陰とか、絶対いると思うんだよね」

 照永が指さした場所は川の端に近い所で、ボーリングの球くらいの大きさの岩が数個鎮座していた。

「なるほど、いるかもですね」

 しかしそこは小さく渦が巻いてあって川底まで見ることが出来ない。

「さて」

 照永の方を見ると軽く伸びをして『そろそろ行きますか』と声を掛けてきた。

「パワー貰った? パワー」

 そう言って笑う。

「そうですね、結構沢山パワー貰いました」

 千葉も笑う。

 どちらからともなく歩き出して車までの道のりを目指す。

 その途中。

「やっぱりスマホ持ってくればよかったなー。それか、デジカメ。持ってきたら記念に写真撮れたのに」

 『しょうがない』という照永に『次は絶対持ち歩きます』という千葉。

 車までたどり着いて外でタバコを1本ずつ。

「車でタバコ吸うの遠慮してる?」

 照永が聞く。
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