年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「とりあえず、またお昼ご飯逃しましたね」

 千葉は苦笑いをする。

 自分が紹介しようとした店が休みだったことで申し訳なさを感じていた。

「一応、もう一つ美味しいお店を知ってるんですけど、温泉街の近くで」

「うん、じゃあ行こう」

「そこも有名なところだから、もしかしたら凄く混んでるかも」

「そしたらその時考えましょ、他にも何かあるでしょ」

「そうですね」

 そうして車に乗り込み先ほど通り過ぎた温泉街へと足を運ぶ。

 土曜日ともあり、自由に使える観光客向けの駐車場も満車寸前だった。

 運よく車を停められ、歩いて目的の店まで行くことにした。

「ここを曲がって、すぐ先にあるはずなんですけど……あ、あった。けど、あの人だかり全部待ってる人ですかね」

「結構いるなあ」

 近づくとその人の多さが余計に分かる。

「待ってる人ですね、ちょっと確認してきます」
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