年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 券売機の順番が回ってきた。

 店員の手際がいいのか回転率は高そうだ。

 人の多さに結構な時間待たないといけないかと思っていたが、杞憂のようだ。

「今日はジェラートシングルにします」

「ふうん、シングルとダブルね。僕はソフトクリームですけど」

 それぞれ券売機で発券し、手に持ったまま列をゆっくりと進んでゆく。

 照永はスマホを持ち出し何かを調べ始めた。

「お、ここはジェラートが人気ですがソフトクリームもとてもおいしいです、って」

 店のクチコミを確認していたようだ。

 満足げにスマホをしまうと大人しく列に並びゆっくりと進んでゆく。

 ソフトクリームを選択した人を見つけて『ソフトクリームの人いた』と喜ぶ照永。

 『照永さん、ホントにアイス好きなんだな』と照永にばれないように横を向いて少し微笑む千葉。

「ほら、何にするか選んできてくださいよ」

 順番が近付くと照永は千葉に向かってそう呟いた。
< 126 / 304 >

この作品をシェア

pagetop