年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「千葉さん?」

「なんですか?」

「日帰り温泉って言ってたけど、今回諦めてもいいですか?」

 敷地内を回りながら話をしていた時、唐突に照永がそう言いだした。

 思えば時折時間を気にしていた。

 温泉に入ってからジェラートを食べに行こうという話だったのも、先にジェラートを食べに行くことになった。

 予定から削るとしたら温泉だと判断したのだろう。

「いいですよ」

 千葉は間髪入れずに返事をした。

「ごめんね、日帰り温泉って話もしてたのに」

「大丈夫ですよ、照永さん的に、5時くらいまでに帰りたかったんですよね?」

 今から帰ればおそらくそのぐらいの時間に帰宅することになるだろう。

「いや、まあ、そうなんだよ。ごめんね、ふるさとの丘を失敗したばかりに」

 そう言って照永は苦笑いする。

「あはは。でもほんと、大丈夫ですよ、アイスも食べに来れましたし」

「ごめんね」

「大丈夫ですって」

 千葉は笑顔で返した。
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