年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 照永はゆっくりと右足でアクセルを踏んでいく。

 それに合わせてゆっくりと左足でクラッチを踏む力を抜いていく。

 この動きがうまくできないと車を操作できない。

「お」

 ゆっくりと車が前進していく。

「え? すごい」

 千葉は心の底から驚いていた。

 今の時代、マニュアル車を好き好んで選ぶ人はかなり少ない。

 少なくとも千葉の身の回りでマニュアル車を所有している人は見たことが無い。

 照永も普段運転している車はオートマ車だ。

「すごいスムーズに進んでるんですけど」

 体のこわばりはまだ抜けないが、ローからセカンド、セカンドからサードとギアを入れ替えている間も車の揺れは無い。

「エンストするかなって思ってたんですけどね」

「俺も絶対最初はエンストすると思った、出来てるね」

 照永も嬉しそうだ。

 その後の右左折でのギアチェンジも問題なく、赤信号からの発進も問題なかった。
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