年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「帰り道は来た時と同じ道を通って帰る感じですか?」

 何気なく聞いた質問だったが、

「そのつもりでしたけど、どうします? 違う道通ります?」

 と、逆に質問されてしまった。

「いや、私は道が分からないから……照永さんの思う道で大丈夫です」

 そう言うと、

「あそこ通ります? ふるさとの丘の所」

「来るとき通れなかったからですか?」

 そう言って千葉は笑う。

「そっちを通ると、来る時とは違う道になるけど、そっちも峠なんですよ、来た道よりは軽い峠ですけどね」

「えっと、じゃあそっち通ります? ふるさとの丘の看板だけ見て通り過ぎる感じで」

 笑いながら話すと、照永も同意するように返事をする。

「用事は無いけどね、看板だけ見て帰りましょうか」

 そうしましょう、そうしましょうと笑いながらドライブは進んでいく。

 これと言って目立った会話はしなかったが、車内でかけている音楽の話になった。
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