年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 そんな話をしていたら、いつの間にか峠を越えていた。

「峠を越えてこの後この道をまっすぐ行けば、大きな病院の所に出る」

「あ、その道は知ってます」

「でも、家に帰るならその道は遠回りなんだよ、僕たちの家方面に帰る時はね」

 そう言いながら照永は車のスピードを緩めていく。

「そこでこの道」

 そう言って千葉の知らない道へと曲がっていく。

「この道を進んでいくと『ふりだしに戻る』」

「ふりだし?」

「そう、ふりだし。この道も結構やんちゃな道なんだけどね」

「狭い道ですね」

「そうだね。ここも昔は砂利道だったんだけど、綺麗な道に舗装されてる」

「ここって、対向車来ますよね?」

「来るよ」

「この狭い道で対向車、ちょっと怖いかも」

「大丈夫、この道は何度も通ってるし任せなさい」

 くねくねとした道が続く。

 舗装されている部分は綺麗だが、脱輪してしまったらこの少しの段差でもお手上げ状態になってしまう。

 カーブに差し掛かるたびに千葉は緊張した。
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