年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「そして、ここを通り過ぎたという事は、もうすぐ『ふりだしに戻る』感じ」
「ふりだしですかー」
「要するにもうすぐ家に着くよってこと」
『そうか、照永さんとのドライブもここでおしまいか』
そんな寂しい感情が千葉の心に浮かんでくる。
「ほら、もうすぐこの道も終わり」
「わぁ、急に視界が開けました、ずっと山道だったのに」
ぽつらぽつらと民家も見えてくる。
「なんか、一気に街に近付いたって感じです」
「でしょ?」
千葉が辺りを見回していると、見慣れた景色を見つけた。
「あ、高速のインターだ。あ、ここってあそこか」
「知ってる場所見つけました? そう、高速の所です」
正面を眺めていると、再び見覚えのある景色が。
「あそこ、行くときに通ったぐるっと回る道ですよね」
「そうそう。でも帰りはあそこは通らないですよ、通ったらまた温泉街まで行くことになっちゃう」