年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「怖かった?」

「何がですか?」

「僕の運転」

「えっと……ですね……」

「え? 怖かった?」

「あ、いやー……ちょっと」

 そう言って指で『ちょっと』を表現する千葉。

「え、うそ、どこ?」

「カーブが……あの、スピードがちょっと」

 そう言って千葉は苦笑いする。

「あ、ほら、あの、私は道を知らないからその、でも照永さんは道を知ってるから運転は安全っていうのはその、思ってたんで」

 口早にごまかすようにまくしたてた。

「このカーブならこのくらいでも大丈夫だって、感覚でね、運転してたから」

「いんです、大丈夫です、ちゃんとたどり着きましたし」

 取り繕うように千葉は言葉を返した。

「すみません、次は安全運転します」

 そう笑いながら照永は答えた。

 『次……もあるんですか?』

 照永の言葉に淡い期待を持つが、次の保障は今の所ない。

「えっと、はい、安全運転お願いします」

 そう答えるので精いっぱいだった。
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