年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「アラレちゃんね、小物用意してないんですよ、いらないかなって思って」

「じゃぁあの棒もですか?」

「そう、棒も。でも用意すればよかったなーって今ちょっと後悔してる、あはは」

 2人が向かおうとしているイベントとは、要するにコスプレイベントだ。

 千葉はコスプレイヤーでもある。

 44歳にもなってアラレちゃんの服装をするのもどうかと思ったが、子供の頃からの夢だった。

 私も、僕も〇〇になりたいと思った事のある人も多いだろう。

 男の子に多いのは仮面ライダーだったりするだろうし、女の子に多いのは魔法少女だったりするだろう。

 大人になってコツコツ溜めた貯金を使い衣装を準備し、メイクを覚え、キャラクターに近付くために少しでも……とダイエットも試みた。

 そんな、コスプレというものを通じて知り合った友達も多い。

 テレビゲームくらいしか趣味と言えるものが無かった千葉にとっては、この友人含め何も知らない初心者コスプレにも優しく接してくれる、そんな仲間たちをとても大事にしている。
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