年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「その日駐車場で車を見つけて、運転席に乗ってたから手を振って、でそのまま帰ろうとしたのね」

「はい」

「そしたら、助手席のドア開けてくれて、乗ってく?って」

「こわ」

「ふふ」

 友人の素直な反応に思わず小さく噴き出してしまった。

「こわいか、ま、ふつう怖いよね。でもま、普段仲良く会話してる人だから」

 取り繕うように説明しながら千葉は話を続ける。

「それで連絡先交換しようってなって話してたら、整体に行ったときに湯船に入るようにって言われたらしくて、一緒に銭湯にでも行こうよって言われて」

「こわ」

「そうだよね、ふつう怖いよね」

 そう言って千葉は声高に笑った。

 その後も今までの一連の流れを簡略化して説明し続けた。

「それで、何を考えているのかわからなくてさー」

「私はとりあえずこわいとしか」

 真顔で答える友人に、短い間柄ではないから私にとっては怖くは無いんだけどねと取り繕う。
< 150 / 304 >

この作品をシェア

pagetop