年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「次は整骨院か」

 車に乗り込んだ千葉は1人でそう呟く。

 『先生は拍子抜けするだろうな』

 そんなことを思いながら車を発進させた。

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 一度自宅に戻り、予約の電話をする。

 今時間は空いているとのことで必要なものだけ持って再び外へ出た。

「どうぞー」

 ドアの音を聞いた先生は千葉がきたことに気付き施術台の近くから声を掛けてきた。

 受付を通り過ぎ、先生の指さすベッドへ行く。

 準備をして横になった所でカーテンが開き、

「行ってきた?」

 と一言。

「行ってきましたよー」

「アイス食って帰ってきた?」

「アイス食べて帰ってきましたよ」

「それだけ?」

「それだけですよ、何もないですよ~」

「なんだよ、何も進展ないのかよ」

「ないですよ、観光してジェラート食べて帰ってきただけですから」

 『なんだよ~』と先生はつまらなそうに呟いた。
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