年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「温泉街で食べようってか?」

「私はそう思ってたんだけど、ふるさとの丘に行こうって言われて」

「あ~、あるね、いんでしょ」

「それでその峠を越えて、T字路……」

「T字路あるね、そこ右に曲がればふるさとの丘あるでしょ」

「そこを左に曲がっちゃって」

 そう言って千葉は笑った。

「左に行ったらダメでしょ」

「しばらく進んでもふるさとの丘出てこなくて」

「左に行ったらどれだけ走ってもそりゃでてこないでしょ」

「どうします、戻ります? って言ったんだけど『いや、この先で探そう』ってなって」

「それで?」

「目的地の近くに美味しいレストランがあるの知ってるけどどうしますかって話して、んでそこに行くことになって」

「そしたら?」

「そこ、ペンションとかもやってるところで、明日のイベントで宿泊客がいっぱいで、レストランまで手が回らないから今日は休みなんだって言われちゃって」

「イベント? あ~この間別の患者さんが何か言ってたな、聞いたわ」
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