年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「『会計済ませてあるから行くよ』って!」

「やるじゃん!」

「でもちゃんと後で払いますって言って、アイス食べに行ったら忘れちゃって」

 そう言って千葉はあははと声を出して笑った。

「忘れたんかい」

「家に帰ってからそのこと思い出して、どっかのタイミングで渡しますってLINE送ったら」

「うん」

「『いつかご飯奢ってください』って言われた」

「いんでしょ~、次の約束取り付けたんでしょ」

「次の約束かなぁ~?」

「そうでしょ~」

 先生は楽しそうに相槌を打っている。

「あとね、帰り道なんだけど行きと同じ道通るのかって話して、ふるさとの丘の前通って帰ろうってなって」

「あー、あっちの道ね」

「走ってる途中で気付いたんだけど、その道は私知ってたんですよ。なんだけど、このまままっすぐ行くと自分たちの家に帰るには遠回りになるって……」

「あれか? あれだろ、ぐ~っと山道登っていく所、くねくねしてる狭い道」
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