年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 ちらりと照永の様子をうかがうが、変わらずにパソコンの画面を見ている。

「今日から教えていくから、時間になったら呼ぶのでよろしくね」

 『今日からですか、随分と急ですね』

 そう思い少しだけ身体が重たくなったが、将来的に照永と一緒の仕事ができると思うとまだ我慢できた。

「でも私、職員に今の私の仕事を引き継ぐ作業もあるんですが」

「そう、そっちもやってもらわないといけないんだけどね、忙しいんだけどよろしくお願いします」

 『この会社はいつもそうだ、急な仕事の割り振りが多すぎる』

 不満を抱えながらも『これは仕事だ』と割り切り、自席に座って今日の仕事の準備を始める。

 上司との会話がひと段落したところで照永が立ち上がった。

 『私に用かな?』

 そんな淡い期待を持つが、期待しすぎるといけない。

 平常心で画面を見る。

「千葉さん」

 照永の声が聞こえて振り向くと少し離れたところから声を掛けてきていた。
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