年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 もともと照永の方からLINEを送ってくることは無いのを考えて、それが理由でLINEを開いていなかったのだ。

 既読は付いていたものの、返信する元気が無かったと言うわけだ。

 『お祭りの日は体調回復しているといいけど……』

 そう思いながらも照永を気遣い、

「無理せず、ゆっくりお仕事しましょ」

 と返し、その後の会話は途絶えた。

 その日は仕事を覚えたり、仕事を教えるための資料を作ったりと千葉は何かと忙しかった。

 気付けば就業時間となり、1本だけタバコを吸って帰宅することに。

 照永はそうとう体調が悪いのか仕事終わりのタバコも吸わずに早々に帰宅した。

 千葉は帰宅後に照永にLINEを送ることもなく、決定した演劇の台本を確認し、自分の役の台詞を覚えることに没頭した。

 『そっか、明日も仕事か。休みじゃないんだった』

 時計を見て次の日のことを思い出し、テーブルの上を片付けたのち準備をして布団に潜りこんだ。
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