年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 最低限のことをやっていれば肌荒れもあまり感じていなかったが、久しぶりに鏡を見るようになって顔のシミが目立つようになっているのを確認して少しテンションが下がる。

 『堕落した生活から抜け出すのは、なかなか難しそうだな』

 そんなことを考えながら荷物を持って玄関を出た。

 いつもの様に職場に付き、挨拶を交わす。

 この日は照永から声が掛かることは無かった。

 午前中の休憩でタバコを吸いに行くと、昨日と同じように照永は座り込んでいた。

 画面を見て疲れたのか、両目の目頭を押さえたりしている。

 明らかに普段と違う雰囲気を感じ取った千葉は小さく声を掛けた。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」

 すぐに返事が返ってきたが、作ったような『大丈夫ですよ』という言葉にも引っかかる。

 これ以上声を掛けない方がいい、そう感じ取った千葉はその後は声を掛けずに静かにタバコをふかした。
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