年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「私もアレルギーの薬初めて処方されたとき、仕事中に寝ちゃうかと思い……」

 そこでドアが開いて他の喫煙者が中に入ってきた。

 止まる会話。

「お疲れ様です」

「おつかれさまです~」

 挨拶だけ済まし、喫煙室内はしんとなった。

 『やっぱりそうだ』

 千葉はそう感じた。

 プライベートな話は、職場で話したくない、誰かに聞かれたくないんだ、と確信した。

 照永との会話が途絶えてしまったことは残念だったが、千葉は『自分にはプライベートなことを話してくれるんだ』と、嬉しくなった。

 そのまま吸い終わったタバコを灰皿に落とし喫煙室から出る。

 まっすぐトイレに向かい用を済ませて手を洗っていると照永と鉢合わせた。

「照永さん、今日は顔色がいいですね」

 そう声を掛けたが、『えっ?』と返事がきた。

 通りすがりで照永にはよく聞こえなかったようだ。

「顔色、今日は顔色がいいですね」
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