年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 演出『今は良いですよw』

 千葉『じゃあ、なるべく短くならないように切りますw あざます!!(土下座アイコン)』


 千葉は演出の既読を待たずに折りたたみのミラー・ハサミ・ごみ箱を用意しすぐに前髪をカットし始めた。

 もともと眉毛がはっきり見えるほどの短い前髪にショートカットというスタイルを好んでいた千葉だったが、役者として動くようになってからは髪の長さで苦汁を舐めることもあったため、しばらくの間髪は前髪含め伸ばし放題だった。

 役者のためと思えば苦ではなかったが、正直なところ前髪に関しては鬱陶しく思っていたのは事実だ。

 照永と祭りに出掛けることを考えこんなにも簡単に前髪を切っている自分に少し驚いている。

 何度も鏡と向き合い調整しながらカットして姿見の前へ立つ。

 視界を遮るものが無くなりすっきりとした。

 気持ち、顔立ちが幼くなった気もする。
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