年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「ほんと、がんばったよ、えらかった」

 千葉は本当に泣きそうになる。

「やだもうだから、泣いちゃうって」

 ここで泣いてしまって、照永にもう少し慰めてもらおうかとも思ったが、人通りの多い道路沿い、千葉はグッとこらえた。

 そうこうしているうちに車までたどり着き、『お疲れ様です』と挨拶をして別れた。

 車に乗り込み千葉は呟く。

「そういう所だよ……」




 優しいんだよな、普通に優しいんだよな……。

 もう少し。

 もう少しでいいから、もうちょっと長く照永さんと話していたい。

 でもね、恋人でもないし、彼氏でもないし彼女でもないし。

 ただの同じ会社の人。

 一緒に出掛けるくらい仲良くしてくれるけど、ただの同じ会社の人。

 今はそれ以上になる見込みがない。

 誕生日だってきっと何もないよ。

 どこかに食べに行こうとかはあるかもしれないけど、何かが進展するようなことは何もない。
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