年上男性にてのひらの上で転がされて困っています

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 定時過ぎてみんなが帰宅した後の喫煙室へ向かう千葉。

 なんだかんだ言って結局照永を追いかけてしまっている。

 喫煙室の扉を開けると目の前に照永と部屋の中心にもう1人の喫煙者がいた。

 1人が通路を塞いで立っているので仕方なく扉の前でタバコを吸い始めた。

 千葉の横顔を見ていた照永が千葉に声を掛ける。

「髪切りました?」

 久しぶりに髪のセットをしなかったのでそう見えたのだろう。

 千葉は自分の髪を撫でながら答える。

「切ってないですよ」

 そして手を前髪に移動させ、

「前髪は切りましたけど」

「あ」

 千葉の言葉に照永は小さく声を出した。

 気にせずに千葉は言葉を続ける。

「先週」

 そう言って照永を見ると『ヤベェ……』といった風な表情でタバコを一吸いした。

 その反応が面白くてさらに言葉を続けた。

「でも誰も何も言ってくれないからさぁ~」
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