年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 道路向かいから先生の声が聞こえる。

「体調崩して行けませんでした!!」

 やけっぱちで千葉は叫ぶ。

「あはははははは」

 大笑いする先生に『笑い事じゃないよ!』と内心で叫ぶ千葉。

「もう嫌です!!」

 笑いながらそう言った。

 その時のことを思い出しながら整骨院の自動ドアを通り抜ける。

「どうぞー」

 先生の言葉が聞こえてきた所で声を掛けた。

「せっかく借りたパーカーですけど」

「「使いませんでしたー」」

 二人の声がハモる。

「体調崩したってかい」

「そうなんですよ。朝11時くらいだったかな、連絡が来て。待ち合わせ時間の変更かなとか思ったんですけど、内容はそれでした」

「体調崩すったって、よりによって土曜日に崩さなくてもなぁ?」

「ですよねー。でもまぁ、崩しちゃったんだからしょうがないです。かなりショックでしたけど」

「体調崩すって、何が駄目なのさ」
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