年上男性にてのひらの上で転がされて困っています

　他人の事情を勝手に話すのはどうかと悩んだが、少しだけ伝えてみることにした。

「なんか、ちょっとだけ聞いた話だと家の中が落ち着かないみたいで」

「家？」

「なんだか苦しくなる時があるみたいです。それ以上のことは解らないですけどね」

「家族と仲悪いとかか？」

「いやいや、そんな細かいことは知らないですよ、簡単に聞ける内容でもないですし」

「まぁ、そうだよなぁ、何か問題があるとしても簡単に首を突っ込んでいい話ではなさそうだな」

「だから、もうしょうがないんです」

「でもよ」

　そう言って先生は神妙な面持ちになる。

「もし父親か母親か知らないけど、いい親じゃないとして……例えばだよ？」

「例えばね」

「それに加えて、仮に、仮にだぞ、お付き合いするとかそんな話になったらさ、あなただってその両親と関わり合いになる可能性だってあるだろ？」

「まぁ、そうなるでしょうね」