年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
　今の千葉にとって唯一のメンタル、ストレスの解消の場である稽古場。

　役者仲間の気さくな存在が千葉の心を浄化してくれる。

「千葉さん、これ」

　演出をする男性から小さい袋を受け取った。

「何ですか？」

「いいから開けてみて」

　演出はニヤニヤしている。

　袋の中を確認してみると、小さな緩衝材の袋に入った小さな固い物が確認できた。

　改めて袋を確認してみると可愛らしいイラストの描かれたシールが貼ってあった。

「うわあああ！」

　千葉は中身を確認せずにそこに入っている物が何かを察して喜びの叫び声をあげた。

　その声を聞いて近くに居た役者仲間が集まってくる。

「何なに、何貰ったの？」

「いや、もう、あの、これ、あああああ……」

　千葉は感動のあまり言葉がつながらない。

　袋の中には千葉が大好きなイラストレーターが作成した小さな樹脂粘土の鏡餅だった。
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