年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 タガが外れたかのように、ぽたぽたと涙がテーブルに落ちていく。




 こんなに、いつの間にこんなに好きになってたんだろう……。

 あはは……涙で視界が滲むって、映画を見て感動した時以外体験したことなかったかも。

 いや、45年も生きてきてるんだから1回くらいは体験してるか。

 この年になっても、愛だの恋だの、そんな理由でこんなに泣けるなんて思ってなかった。




 千葉は嗚咽を漏らさないように何度もしゃくりあげた。

 その都度涙がまたテーブルに落ちていく。

 流れる涙を拭くこともせず、垂れてくる鼻水をすすりながらじっとパソコンのディスプレイを見ていた。

 おおよそ十数分ほどの短い間だったが、頬を通った涙は乾き、その涙の道筋を頬で感じていた。

 『今日はここまでにしよう』

 そう決めてパソコンを閉じた。

 顔を洗って気持ちを落ち着かせる。

 ふと見たテーブルの上には、まだ乾ききっていない涙がいびつな形で残っていた。
< 295 / 304 >

この作品をシェア

pagetop