年上男性にてのひらの上で転がされて困っています

6月19日

 6月19日

 今日から仕事の内容が変わり、千葉の負担が軽くなった。

 照永を送って帰る予定があるのもあり、少しだけ凝った髪型にして出勤した。

 体調は良い。

 きっと何もない。

 それはもう分かっている。

 それでも落ち込まない自信があった。

 昨日泣いたからすっきりしているのもあるのかもしれない。

 そしていつもの様に喫煙室へ。

 タバコを吸い始めて少しした時、

「あ、そうだ」

 照永が千葉に向けて声を掛けた。

「昨日誕生日だったんですよね、おめでとうございます」

「あ、ありがとうございます、45歳になりました」

 千葉は笑顔で答えた。

 そして同時に思う。

 このタイミングで誕生日のことに触れるということは、やっぱり仕事終わりには何もないな、と。

「もうあれですね、四捨五入って言葉は言えないですね」

「四捨五入? あぁ、四捨五入ね、大丈夫ですよ言ってもらっても」

 あははと笑いながら千葉は続ける。
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