年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「妹に言われましたから、四捨五入したら50だって」

 『何度も言われましたよ』と言いながら笑う千葉に、

「そうやって言い合える関係っていいですね」

 と笑いかける照永。

「そうですね」

 そう千葉が答えた後、照永はスマートウォッチを操作し始めてじっと盤面を見ている。

 見終えると困った顔をして話始めた。

「弟が帰省するから空港まで迎えに行ったみたいだけど、微熱があるから病院に行くって連絡が入りました」

 『やめてくれよ―……』と呟いている。

 そうか、と千葉は気付いた。

 照永の家には車は1台しか所有していないはずだと思い出す。

 普通に帰りの足が無いから近くに住んでいる千葉に送ってくれと頼んだのだと。

 『思った通り、何もなかった。普通に送って終わりだな』

 不思議と残念な気持ちは無かった。

 照永と短い時間だがドライブが出来ることに変わりは無いのだから。
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