年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 とはいえ、5月いっぱいで契約が切れることは変わらないため、残っている有給休暇をすべて消化しなければいけなくなった。

 照永が入社してから約1年後のことだ。



 千葉の有給は約1か月分ほど残っており、4月と5月で職場に出勤するのは合計10日ほどとなった。

 4月はそれなりにプライベートが忙しく、休みが多いことに暇を感じるようなことは無かったのだが、5月に入ってからは本格的に暇になってしまった。



 観る時間がないまま放置していたテレビドラマや、サブスクリプションで観たかった映画を見たりして時間を潰していたが、不思議なもので映像を見続けるのも疲れてしまったり飽きてしまうものだった。



 そんなときの職場の喫煙室での会話。

「整体に4週連続通って、いったん中断するって言ってきたけど、整体師に風呂に入れって毎回言われたんですよ」

 身体の調子が良くないと言っていた照永は、千葉が勧めた整体院に通っていたのを思い出す。

「あぁ、私も何度も言われました。湯船につかりなさいって」

「家の風呂、落ち着かないから風呂入れって言われても休まらない気がするんだよな」



 そんな、何気ない会話。

 何の変哲もない会話。
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