年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「岩盤浴は行ったことないからなぁ。行ってみたいですね」

「岩盤浴こそ体調良いときに行かないとだめですからね」

「凄く疲れそうですよね」

 そこまで話したところで目印のバス停を見つける。

「このバス停……でしたっけ、いや違うな」

「これの次のバス停です」

「じゃぁこのまま左車線走ってれば……」

「いや、車線減少するので右車線に行かないと」

「え、あ、ホントだ」

 先に見えた道路を確認して千葉は右車線へと移動する。

「あ! そっか!」

 大発見をしたかのように千葉は声を上げた。

「車線減少したあとのバス停が目印ですね!」

 一瞬、間が空いた後に照永が大きく笑いだした。

「あははは! そう、そうです」

「いや、こうやって1個ずつ覚えて行かないと覚えられないんですよ」

 照永は千葉が方向音痴だということを思いだしたようで、笑いを噛み殺しながら『そうですね』と言った。
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