年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 喫煙室の扉を開けると、照永がタバコに火をつけているところだった。

 千葉の電子タバコにも電源が入り、無言でタバコを吸う2人。

 おもむろに千葉が口を開いた。

「照永さんって、暇な日あるんですか?」

「いつも暇だよ」

「でも、土日は予定が入ってるって言ってたから」

「予定ったって、ちょっとした用事ってだけだよ」

 『まぁ、そうかもしれないけどー』と言いながら千葉はタバコの煙を吐き出した。




 どうしようかな。何度も誘うと嫌われるかな。

 面倒くさい女だって、本気で思われたりするかな。




 何度も同じことを繰り返し考えながら千葉はタバコを吸い続ける。

 そして、意を決して聞いてみた。

「次の土日は暇なんですか?」

「暇だよ~?」

 返事は即答だった。

 緊張しているのか、千葉の鼓動が早くなる。

「じゃぁ、どっか行きましょうよ~」

 半分本気、半分冗談、そんな雰囲気を崩さないように話しかける千葉。

 『ふふっ』と照永が笑った気がした。
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