年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「いつも暇だってさぁ、この間の土日は用事があったんじゃねぇか」

 声量を大きくしながら先生は笑う。

「いやいや、この間のは本当に何か用事があったんだろうけどさ」

 そう言って千葉は苦笑いをしながら返事をした。

「なんだかはっきりしない男だな。出掛けようって自分から言ってきたんだろ?」

 先生は千葉を娘だと思っているかのように興奮気味だ。

「それなのに誘ってみたら用事がある、暇かと聞いたら暇だって」

「この場合用事はしょうがないでしょ」

 しょうがないじゃん、といった感じで千葉は笑うしかない。

「あれだな、こっちから連絡するのは一度やめた方がいいな、何かしらのアプローチはしない方がいい」

 そう断言する先生に対し、言い辛そうに口を開く千葉。

「思い切って聞いてみようかなって思って、ちょっと聞いちゃったんだよね」

「何、アプローチしちゃったのかい」

「アプローチって言うわけじゃないけど……『じゃぁ、今週の土日にどこか行きませんか』って」

「言っちゃったのかい。向こうはなんて?」

「『行きたいんですかー』って」
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