年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 現時点で就職希望先が決まっているわけではないのでとりあえず『経理の仕事』を募集している会社と見立てて文章を考える。

 こういった作業は千葉は嫌いではない。

 とりあえずパソコンの操作が出来れば、タイピングが出来れば基本的に何でも楽しめるのだ。

 そうなると、照永のことを考える時間は全くなくなり、職務経歴書の空欄を埋めることに集中することになる。

 気付けば1時間が過ぎていた。

「タバコでも吸いに行くかー」

 そう言って席を立つと、照永も、

「これは、ニコチン摂取しなきゃ厳しい」

 そう言って苦笑いをしながら喫煙室へ向かった。

 もしかしたら本日唯一の接点になるかもしれない喫煙室で照永とのやり取り。

 周りに悟られないように電子タバコにタバコをセットして喫煙室へ向かった。

 照永はすでに喫煙室に入った後だった。

 扉を開ける。
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