年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「おう」

「そこでどうしようか迷っちゃって」

「迷うって何を」

「向こうから連絡が来るってことはね、別に私のことを邪魔くさく思っているわけじゃないってことでしょ? だからさ、ほら、また銭湯にでも行きませんか? 的なね、ちょっとくらい声かけてもいいのかな?ってさ」

「それで?」

「結局送っちゃったんですよ、承認されたお祝いに銭湯でも~って。」

「送ったんかい」

「送ったんですよ、そしたら、『銭湯はまた今度ってことで』って。ま、そうですよね、って。そりゃそうですよね駄目ですよねって思ってよく見たらですよ?」

 千葉は頬が緩むのを止められないでいる。

「何よ、そんなニヤニヤしなくていいから」

 先生もつられているのか、楽しんでいるのか、軽快に喋っている。

「よく見たら、よく見たらね!」

「早く言いなさいよ」

 こみあげてくる笑いを押さえられないのか、先生の声は少し波打っている。

「明日は天気がよさそうだから出かけませんかって!」

「マジか!! それはニヤニヤするな!」
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