今を生きる君とこれからも
「っわ!やばっ!寝てた。」
急いで電車を降り、家に向かう。
久しぶりに見た夢。多分あの女の子は瑠夏だ。もう、俺の目標は果たせたな。
変わってない。あの時の全て抜き取られたかのように空っぽになった自分、彼女のあの笑顔。
俺は守りたい。そう、俺はあの時誓った。でも、瑠夏はそれで幸せなのだろうか。瑠夏にも好きな人とか、大事な友達とか、居ないのだろうか。居なかったとしても、俺がいるから瑠夏に友達が出来なくなってしまわないだろうか。俺だって瑠夏のそばにずっといたいけど、瑠夏だって瑠夏の気持もあるんだ。俺はそれを今まで考えれられていなかった。


「晴。おはよう。」
「瑠夏。昨日はごめん。」
「なんで晴が謝るの。」
怒っているのか?なんで、俺が一方的に瑠夏の話も聞かずに話してたのに。
「怒ってる?」
「怒ってない。」
「絶対怒ってる。」
「怒ってない。」
「むう。」
「何それ。可愛い。」
「ほんと?」
「うん。」
「授業始まるよ?」
「うわ!ほんとだ。」
ガラッ!
「なんだ、うるさいな、早く自分の席に戻れ。」
うわ、先生、もう来ちゃった。
「なんか、今日の先生怖くない?」
「うん。なんかピリピリしてる。」
「怖いねー。」
「うん。」


でももっと一緒に居たい。瑠夏の隣で、瑠夏のあの笑顔を守りたい。
たとえどんなに短い時間だろうが、どんな些細なとかだろうが一緒に居たい。
「瑠夏。一緒に帰ろう。」
「晴、毎回それ言ってるけど、私だって一緒に帰る人なんか居ないんだから良いに決まてるでしょ。」
「そうなの!てっきり友達とかと一緒に帰りたいのかとか思ってた。」
「私にそんな友達はいませんん。」
「そっか、それだったら良かった!」
「晴は私が友達少ないから声かけてくれたの?最初。」
「いや、違う。」
「そうなんだ。良かった。」
「なにがだよ!」
「教えなーい。」
「瑠夏。」
「ん?なに?」
「瑠夏は俺と居て幸せ?」
「え!きゅ、急に言われても。」
「俺たち恋人でもないのに一緒に居すぎだよな。」
「そんなことない。晴は私にとって!」
違う、違う。俺が言いたいのはそういう事じゃない。
「瑠夏。しばらく一緒に居るのはやめよう。でも、席も隣だしクラスも同じだから話さないっていう事は無理だけどっ出来る限り俺も瑠夏と話さない。」
「なんで!」
「これも、全部瑠夏のためだよ。」
「私のためって、晴の病気の事?そんなことに気使わないで!」
「気使ってるわけじゃない。俺の独断。」
「瑠夏が嫌でも俺はそうする。」
「わかったよ。晴がそうしたいなら。」
「ありがとう。」
「だから、一緒に帰るのは今日で最後だね。」
「うん。」

本当に俺はこんな事を言いたかったのだろう。本当にこれで良かったんだろうか。
瑠夏。ごめん。嘘ついてごめん。ごめん。
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