今を生きる君とこれからも

「晴っ!」
「っ!はあ、はあ、」
空気が重い。重力が俺に全てのしかかっているかのように。そしてこの世界から空気が無くなって、ただの空間になったように苦しい。
苦しい。辛い。俺は何も無い空間でただひたすらもがくだけ。なにもできない。あの時と同じ。なんで俺が病気なんだって。なんで俺は普通の子たちと一緒にはなれないの?なんで俺だけ。「晴だけじゃない。」そう言われたって証拠がないじゃないか。俺と全く同じで、全く同じ病気の人はいるの?って聞いた時母親は「居ない。」と答えた。やっぱり俺だけ。
結局俺は苦しんで苦しんで最後まで粘って、死んでいく。
でも、もう一度瑠夏の声が聞きたい。瑠夏がいつも隣に居て、いつもすぐに会えて、もっと一緒に話したい。もっと色んな事を教えてほしい。もっと、もっと君の事が知りたい。
瑠夏の全てを知り尽くしたい。

「晴っ!しっかりして!今救急車呼んでるから!」
瑠夏。ごめん。最後にあんな事言って。今からでも訂正したい。俺はもっと。
―瑠夏と一緒に居たかった―
意識が遠のいていく。俺は死ぬのか。瑠夏が俺の事を支えてくれてる。
一番好きな人の一番近くで死ねるのか。
それはそれで嬉しいな。
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