今を生きる君とこれからも
「晴。」
「瑠夏?」
「うっ、うっ。」
「泣くなよ。まだ俺死んでないんだからさ。」
あの最高のシチュエーションで死に損ねたか。ちょっと残念。そんなことはないけど。
「うっ!」
「え!晴!どうしたの?また体調悪くなった?」
「ふふふふ、、、、。」
まあ、だんだんとまた病気が侵攻しているのは本当だけど。
「え?笑ってる?」
「ぜーんぜん大丈夫。」
「晴のバカ。もう一生口きかない。」
「ごめんって。」
「許す。」
「早っ。」
「瑠夏。一つ、話してもいい?」
「うん。」
「昔、俺がまだずっと入院してた頃、一人の女の子がね、廊下で泣いてたんだ。その時俺はなんで泣いてるのかが分からなかった。だから声をかけたんだ。今思うとなんて無神経なやつ。って思うけどそれがいい選択だったんだと思う。それで、その女の子は俺にこういったんだ。『友達が病気になった。私のせいだ。私が死ねばいいんだ。』って、その時俺の症状はどんどん悪化してってる時で、まだまだ生きれるのになんで自分で自分の命をそんな風に扱えるのかが分からなくてカッとなったんだ。それで俺は思わず『なにが自分が死ねばいい。それを誰の前で言ってんだよ!』って言っちゃったんだ。でも彼女は最後俺の方を向いて笑顔で去っていった。」
「それって。」
「私。」
「そうだよ。瑠夏。君だ。」
「俺はその日、絶対に瑠夏の事を俺が生きて守るって決めたんだ。」
「うっ、うっ。なんで、もっと早く言ってくれなかったの。」
「ほんとすぐ泣くな。」
「それはごめんな。なかなか言えなくて。もしそれが瑠夏じゃなかったらって思って。」
「ありがとう。生きてて。」
俺は瑠夏に抱きしめられた。
「る、瑠夏っ!」
「動かないで。」
「やっと会えた。私の命の恩人。」
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