今を生きる君とこれからも
五章・再会

「やっと会えた。私の命の恩人。」

「晴。好きだよ。」
「え!本当?」
「うん。本当だよ。」
「そのさ、あの、、、。」
「何?」
「俺も!」
「俺も、瑠夏の事が好きだ。」
「ずっと、あの時出会ってから、瑠夏のために生きてきた。」
「私のために。」
「そうだよ、あの頃俺の病気が悪化してきて、もう長くないって言われたとき俺はそれでも諦めなかった。だって、生きて、また瑠夏に、あの子に会いに行くんだって、決めてたから。って言っても名前も知らなかったしなにも手掛かりはないし、俺の病気はまだ長くなりそうだったから、その間俺が死んでもおかしくなかったし、瑠夏も、あの子も俺の事なんか忘れてるよなって思ってた。でも分かったんだ、きっとこの子だ、絶対この子だ!って、よく見たらあの子にそっくりだし、性格も似てた。それで瑠夏を見つけてからかな、知らないうちに目で追ってた。話せるだけでもなんだか自然に楽しかった。一緒に居るだけで幸せに感じた。これが好きってことだよね。
俺は多分だけどあの日瑠夏に会った時にもうまた会いたいって思ったし、そのくらいもう大事だったし、生きてほしいって思った。
だからそれに応えるべく俺も生きなくちゃなって改めて思った。」
「でも俺は病気だし、いつまでも瑠夏と一緒に居られる訳でもない。いつかは別れが来るし、そんな思い何度も瑠夏にしてほしくない。
だから、これからもう思い出は作りたくない。だって、また俺の病気が発覚して体調が悪くなったら、昨日まで瑠夏と楽しく遊んでたのに、もう二度と会えなくなるの?って思うし、この後どんどん二人の仲が深まったとしても、思い出が多くなるほど苦しくなるし、
その分別れの時が辛くなる。だから。」
「嫌だ。嫌だ。晴と会えなくなるのなんて、無理!絶対無理!別れなんて言わないで!私は嫌だ、晴はそれでいいかもしれないけどそんなの、もう二度と会えないみたいじゃん。そんなの、、、、。」

そうか、そうだよな。いくら俺がそれがよくても瑠夏が嫌なら駄目だよな。でも、俺だって考えた。出来るだけ瑠夏が悲しまないように。それを考えて決めたのに。

「私、まだ二人で一緒に色んなところに行ったり、色んなもの見たりして無いのに、、、、。やっと見つけたのに!ずっと探してたの!
晴の事、あの日から、ずっと好きだったから。もっといろんな事したい!もっと一緒に居たいよ。」
「っ、うぅ、うわぁぁぁぁぁ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、、、、、。俺だって、、、嫌だ。そんなの、ずるいよ。」
「そんなの、ずっと一緒に居たいに決まってるじゃん!」
自分の涙が周りに飛び散るのが見えた。でも目元が滲んでよく見えない。
「っ、る、るか。」
「大好きだよ。大好き、ずっと一緒に居たい。だからさ、最後まで一緒に居させて。一緒に居させてくれるだけでもいい。晴が私と会うのがきつくなったら居なくなるから。晴が会いたくなくなるまで一緒に居させて。」
「うん。」
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