今を生きる君とこれからも
またあの日に戻れたとしたら今の私はなんて言うんだろう。
言ってしまった、絶対に行ってはいけないことを。また私は。そう、あの時も同じ、私が言った言葉で千穂ちゃんを傷つけた。苦しめた。全部私のせい。なんで私はこういう時にあんな言葉しか出てこないんだろう。そして、そんなときだけ頭が回らない。自分が今何を言っているのかが分からなくなる。そういう自分が嫌いだ。

昔から『今』という言葉はあまり好きじゃ無い。だって、今はどんどん過ぎていく。なにも気にしていなくても勝手に過ぎていく。自分が未来だと思っていたものもいつかは『今』になっていく。私はその『今』の何を好きになればいいんだろうと分からなかった。
だから私はいつでも『今』のちょっと先を考えている。常に次の事を考えているとも言える。周りから見ればしっかり者とか、ちゃんとしてる人とかに見えるかもしれない。でも、別に私はみんなの事を思って次の事を考えているわけでもないし、そのためじゃない。
全部自分のため。自分を保っているため。だって、この日常が崩れたら自分まで壊れてしまいそうだから。
だけど、もう二度と会えないと思ってた彼に会った日から、彼だと分かった時から私の日常が少しずつ変わっていった。気が付いたらもう私は晴の事ばかり考えていて、やっと会えたってずっと思ってた。いつかはこの気持ちを伝えないとと。
そして、いつしか『未来』の事なんか考えなくなっていた。

「晴っ、ごめん、、、。」
「全部、全部、私のせいだよね。ごめんね。」
全部いっそ投げ出してしまいたい。楽になりたい。

「瑠夏っ!おいっ!」
「っ、あぁ。」
晴に抱きしめられてる。自分が今どうなっているか理解するのに時間がかかった。
「何してんだよ。急に居なくなったと思ったら、こんなところに。」
「は、はる。ごめんね。ごめんね。私の、、。」
「いい、もういいから、瑠夏はそばに居てくれるだけでいいから。それだけで俺は嬉しいから。だから、だから居なくならないで。」
「うううぅぅぅぅぅ、ごめん、ね。」
「いいよ、もうなんでもいいから。そばに居て。」
< 15 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop