今を生きる君とこれからも

「おっも!うわっ!あ、あぁ!」
すべての授業が終わり、家に帰ろうとバックを背よった時、バックの重みで後ろにひっくりかえった。クラスにだれもいなくてよかった、こんなんじゃ、バック千切れるって。私は、落ちたバックを思いっきり背おうと、またひっくりかえりそうでびびった。ほんと、こんなところをだれかに見られたりしていたら入学早々、居場所をなくすところだった。
「おおい、大丈夫か?俺、持とうか?」
「うわあ!え!見てた?」
「え?何を?」
「はあ、よかった。マジでびびった。」
「あ、もしかして、バック重すぎて後ろにひっくりかえったとか?」
「え!」
「やっぱそうか。ふふ、空野さんって、ほんと可愛いね。」
まじで、この人だけは嫌だったんだけど、、、。すぐ言いふらしそうだから。
「どうせ、こんなとこ見られたら、居場所なーいとか思ってるんでしょ?俺が言いふらしそうだから。ははっ!大丈夫っ!俺、こう見えて結構口固いよ?う、ははっ!」
「いや、絶対すぐいうでしょ、なんなら、家帰るまでに十人には言いそう。」
「まじで!俺ってそんな第一印象悪かった?」
「別にそんなわけじゃないけど、客観的に見たら、、。」
「はあ、そうか。」
「ねえ、やっぱり重いでしょ?持つよ。」
「うん、ありがとう、っていうか家までついてくるの!」
「そりゃあ、君が家に着くまでにまたひっくりかえらないようにね。」
「おりゃあ!おっも!」
持ってくれるのはありがたいんだけど、まじで、家までついてくんな、この人、、。
そんなことを二人で話していて、きずいたら雨はやんでいた。

「はあー、やっと電車ぁー。」
「そういえば、はる、あなた、家はどこなの?私の家まで来ると、遠くなるんじゃない?」
「はる、え!あ、俺のことは気にしなくていいよ!これは俺の善意だから!」
本当に太陽みたいに笑いながらこっちを見てきた。
「じゃあ!お言葉に甘えて家まで持ってってもーらお。」
「はる、、、。今、はるって言ったよな、、、。」
「ん?なんか言った?」
晴の顔を見ると、本物の太陽みたいに真っ赤だった。
「え!どうした!ええ!具合悪い?大丈夫?」
「あ!ああ、ご、ごめん、大丈夫。」
本当に太陽みたい。ふふ、なんか可愛い。
「そういえば、明日席替えじゃね?やったー。」
「へー、そうなんだ。早いね。」

「今日は本当に助かりました。家まで送ってくれてありがとう。」
「ううん、こちらこそ。」
「うん。じゃあね、また明日学校で。」
「お、おう。」
私は、早くこの荷物を家の中に入れないと、ここまでバックがちぎれなかったのが奇跡だ、、、。それにしても、高校生活初日にこんなお友達ができるなんてなあー。自分でも結構以外だ。でも、一体彼は、なぜ教室に戻ってきたんだろう。
そういえば、晴、バック持ってたっけ。きっと気のせいだよな、初日にバック忘れるなんてわけ、もしそんなことがあったとしたら、いや、あるわけない。
「瑠夏っ!」
「っ!え!晴!あ、ああ!」
「どうした?」
「俺!学校に、バック忘れた!夜の学校なんか俺一人じゃ怖いから、一緒に行こ!」
「ええ!やだよ!私だって怖いし、、、。」
「お願い!帰りは送るしさ、あ!瑠夏のバック持ってあげたお礼に!な?」
「しょうがないな、いいよ、だったらさっさとバックとってきて早く帰ろ。」
「よっしゃー!」
なんでバックを持ってあげたからって、夜の学校に忘れ物を一緒に取りに行かされるかな。

さっきとは逆の方向に向かって二人で歩いていたとき、ふと私は昔の事を思い出した。
「そうか、私がこの学校に入学した理由って、千穂ちゃんと約束したからなんだった。」
「千穂?瑠夏の友達?」
「そうだよ、ずっと昔からの親友かな、千穂ちゃんはどう思っているかはわからないけど。」
「なんで?聞けばいいじゃん。私たちって親友なの?って。」
「そうだね、そう簡単に聞けたらとっくの昔に私たちは親友になれてたのかも。」
「え、ああ、ごめん、なんか俺、余計な事言ったよね。本当にごめん。」
「ううん、いいんだよ、もう、昔のことだから。」
「あのさ、晴がいやじゃなかったら、この話、聞いてくれる?」
「ぃあなあ訳ないじゃん、俺なんかでいいならいくらでも聞くよ。」
私は晴に千穂ちゃんとのことを全て話した。対外こういう話はみんなめんどくさそうに聞くから、誰にもはなせなかったんだけど、晴は嫌な顔一つせずに聞いてくれた。
他人にこの話をするのは三年ぶりぐらいだ。
「瑠夏?着いたよ。じゃあ、ちょっと待ってて、すぐとってくるから。」
「え、一人で学校入るのが怖いから一緒に来たんじゃないの?」
「それは、瑠夏ともっと話したかったから、、、。」
「じゃあ、ちょっと行ってくる!」
「なにそれ、、、。」
ほんと、意味が分からない人。女の子をこんな夜に一人にさせるなんて。
ポツポツと何かが頬を伝った。雨。またか、やんだと思ってたのに。急いで下駄箱の下に逃げ込むと、晴が戻ってきた。
「瑠夏!雨、大丈夫?濡れてない?」
「大丈夫、ちょっとだけだから。」
「ちょっとまってて。」
晴は走って、どこかに行った。
「はい。瑠夏。これ着て。」
それは、男子用のブレザーだった。
「だから大丈夫だって。」
「俺はこれでいいけど、瑠夏はそれじゃ寒いでしょ?上着ないんだから。俺の貸してあげるから、着て。あ、もしかして嫌だった?」
「いや、ううん。どうもおきずかいありがとう。」
「傘、下駄箱にあったから、これ持ってこう。一つでいいね。この大きさだったら二人で入れるし。瑠夏が濡れなさそう。」
「一つでいいね、って、二つ持っていけばいいじゃん!」
「なんで?二つも傘借りるのめんどくさいじゃん。」
「まあ、確かに、、、。」
「よし!じゃあ、取り合いず、駅目指して行くか!」
「瑠夏!傘入って!」
「うん。」
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