王国を追放された伯爵令嬢は隣国で幸せに暮らします!!

プロローグ

「リーベント王国王太子の名において、マリアンヌとの婚約を破棄する!! 
そして、ここにいるリリカと婚約する!! 
貴様は即刻国を出ていけ!!」

王城で開かれたパーティーで突如、そう告げられた。

彼はリーベント王国王太子リチャード。シェイン辺境伯家令嬢である私マリアンヌは6歳のときにリチャードとの婚約が決まった。婚約が決まったときから今までずっと「伯爵令嬢のくせに生意気だ」とか「無理矢理婚約者になるなんて」と誹謗中傷を浴びせられてきた。それでもいずれ王妃になるのならこれぐらいのこと我慢できて当然だと思い、耐えてきた。そんな私の様子を見てもリチャードは庇おうともせず無視していた。

リチャードと婚約が決まったのは、決してシェイン辺境伯家が無理を言って婚約してもらったわけでは断じてない。むしろ逆なのだ。辺境伯家は国を守る家であり、軍事力にも精通している家門だ。その影響力を恐れた国王陛下から婚約の打診があったのだ。おそらく、リチャードは何も知らないのだろう。

「……理由を教えていただけますか?」

「すっとぼける気か。貴様がリリカを殺そうとしたからに決まっているだろ!!」

「はい?」

彼はいきなり何を言っているのだろうか。私もリリカとの関係には薄々気づいていたし、こうなるのも時間の問題だとは思っていた。そのときは喜んで婚約者の座を譲ろうと思っていたというのに…。

「……そもそも王族は伯爵家以上の家門の令嬢としか婚約できないのでは?」

「そんなこと、どうにでもなる!!」
「さすがリチャード様〜」
リリカがそう言ってリチャードに抱きつく。

私は一体何を見せられているのだろうか。それにどうにもならないだろう。国を支えている貴族、特に名門貴族は伝統を重んじる。そんな貴族が認めるとは思えないのだが…。

彼らに呆れ、もう何もかもどうでもよくなり、
「……分かりました。すぐに出ていきます」
そう告げてパーティー会場を後にしようとした、その時だった。

「待ってくれ、マリアンヌ嬢!!」

そう言って1人の男性が現れた。ウィリアムだ。彼はルーベンス帝国からの留学生で、学園で煙たがられていた私と唯一友達になってくれた人だ。

「マリエンヌ嬢、僕と結婚してくれないか!!」
そう言って彼は膝まづく。

「ええ!?」

「前からずっと好きだったんだ。伝えるなら今しかないと思ってね」

「っええ、私で良ければよろしくお願いします」

私たちが良いムードになっていると、怒ったリチャードに
「お前たちまとめて追放だ!!とっとと国から出ていけ!!」
と言われ、私たちは無理矢理馬車に押し込まれた。
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