王国を追放された伯爵令嬢は隣国で幸せに暮らします!!

ルーベンス帝国

私たちは馬車に乗せられ、国境を通過し、森に入ったところで無理矢理降ろされた。そのようにリチャードが指示したようだ。森には危険な動物が多い。こんなところに放り出されては生きて帰れないかもしれない。リチャードは確実に私を排除するつもりなのだろう。

「大丈夫?マリアンヌ嬢」

「ええ、私は大丈夫ですわ。それより余計なことに巻き込んでごめんなさい」

「いいよ、気にしなくても。しかし、ここまでするなんてとんでもない王子がいたものだよ。あっそうだ。これからだけど、もし良かったら、僕の実家に来ない?ここ、ルーベンス帝国みたいだから」

そうだったのか。今はお金も何もないので、しばらくお邪魔させてもらうことにした。

ウィリアムは大体のルートと危険な動物の少ない場所も把握しているらしく、彼に着いていったら無事何事もなく外に出ることができた。

その後、乗り合い馬車をいくつか経由して、3日ほどで帝都ルビリアに到着した。そこから少し歩いたところにウィリアムの実家があるらしい。帝都付近には高位貴族しか住んでいないはずだが、ウィリアムは一体何者なのだろうかと疑問に思いつつ歩くこと約10分、ウィリアムの足がピタリと止まった。到着したようだ。

「ここが、僕の実家だよ」

「え!? ええ!?」
叫ばずにはいられなかった。なぜなら、目の前にあるのは大きな大きなお城だからだ!!

「驚かせちゃったかな。実は僕の本名はウィリアム・ディ・ルーベンス。ルーベンス帝国の皇太子なんだ。ごめんね、隠してて。明かすといろいろ面倒なことになるから」

確かに、大変な立場ではあるだろうし、仕方なかったのも分かる。しかし、それにしても……知らなかったとはいえ帝国の皇太子を王国から追放とか、一番やってはいけないことをあの王太子はやらかしたんだなあと気づき、苦笑いするしかなかった。
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