王国を追放された伯爵令嬢は隣国で幸せに暮らします!!

国王夫妻の帰国

リーベント王宮では国王夫妻が急遽帰国したことにより、さらに慌ただしくなっていた。そんなことお構いなしにリチャードとリリカは部屋でイチャついていたが、そんな中、国王がリチャードの自室に乗り込んできた。

「え!?父上!?どうしてここに?あっご報告があるんです!!俺はマリアンヌと婚約破棄し、ここにいるリリカ子爵令嬢と婚約することにしました!!」
意気揚々とリチャードは告げる。

「ああ、聞いている…」

「では!!」

「この………この馬鹿息子が!!」
そう言って国王は躊躇うこともなく、リチャードに向かって拳を振り下ろした。
ドンッと音がなりリチャードは頬を抑え倒れ込んだ。

「きゃあ!!」
そんな二人を見たリリカは走って逃げていった。

しばらくリチャードは呆然としていた。生まれてこの方、父親に殴られたことはなかった。怒られたことすらなかったこの俺が、どうしていきなり殴られなければならなかったのか…と。リチャードは自分のしたことは全て正しいものだとばかり思い込んでいた。皆自分を褒め称えるからだ。まあ、そうでもしないと後で大変な目に合うからなのだが…。

「ど、どうして……」

「どうして…だと!! どうしても何もあるか!! 私たちが苦労してマリアンヌ嬢との婚約を取り付けたというのに、お前ときたら!!」
そう言って、国王は項垂れている。王妃も横で「もう終わりよ」と呟いている。
一体どういうことだ。俺の方が当然立場が上なんじゃなかったのか。そう言いたかったがこれ以上何か言えるような雰囲気ではなかった。
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