【完結】婚約破棄イベントが壊れた!
番外編
エリオット殿下とお忍びデート 1話
「デート、ですか?」
「そう。……といっても、お忍びで、だけど」
わたくしは首を傾げてエリオット殿下を見た。
学園を卒業してから早数ヶ月。
エリオット殿下は王太子として、城の仕事を任せられているらしい。
とはいえ、働きすぎは身体に悪いということで、陛下たちが休むように告げたらしい。
ワーカーホリックですか、殿下……?
「お忍び、ですか?」
「平民っぽい服を着て、王都を見回ろう。カリスタは市場の活気や平民がどんな暮らしをしているかは知らないだろう?」
小さくうなずく。
買いたいものがあるときは、その店の人を屋敷に呼ぶからね。
一度お忍びで王都に向かおうとしたら、秒で見つかって両親に懇々と説教された記憶が……
「それは……楽しそうですね」
自分の目で見て回ることを想像し、ぱぁっと表情を明るくさせた。
すると、エリオット殿下が心底愛しそうなまなざしを向けるから、ハッとして彼から視線をそらす。だめだわ、あのまなざしは本当に……!
「学園を卒業してから、カリスタの魅力が増えたような気がするよ」
「……それは、学園を卒業する前は、あまり魅力を感じなかったということでしょうか……?」
「まさか。きみはいつだって魅力的な女性さ。ただ、最近は肩の力が抜けたように見えるから、余計に魅力が増したんだよ」
肩の力が抜けた……エリオット殿下にはバレバレなのね。
悪役令嬢として断罪されるはずだったのに、卒業パーティーでは全然違う展開になった。
マリーさまはあれからどうなったのかわからない。あの日を境に姿を見なくなったのよね。
――王妃教育で余裕がないから、そう思うのかもしれないけれど。
「そう。……といっても、お忍びで、だけど」
わたくしは首を傾げてエリオット殿下を見た。
学園を卒業してから早数ヶ月。
エリオット殿下は王太子として、城の仕事を任せられているらしい。
とはいえ、働きすぎは身体に悪いということで、陛下たちが休むように告げたらしい。
ワーカーホリックですか、殿下……?
「お忍び、ですか?」
「平民っぽい服を着て、王都を見回ろう。カリスタは市場の活気や平民がどんな暮らしをしているかは知らないだろう?」
小さくうなずく。
買いたいものがあるときは、その店の人を屋敷に呼ぶからね。
一度お忍びで王都に向かおうとしたら、秒で見つかって両親に懇々と説教された記憶が……
「それは……楽しそうですね」
自分の目で見て回ることを想像し、ぱぁっと表情を明るくさせた。
すると、エリオット殿下が心底愛しそうなまなざしを向けるから、ハッとして彼から視線をそらす。だめだわ、あのまなざしは本当に……!
「学園を卒業してから、カリスタの魅力が増えたような気がするよ」
「……それは、学園を卒業する前は、あまり魅力を感じなかったということでしょうか……?」
「まさか。きみはいつだって魅力的な女性さ。ただ、最近は肩の力が抜けたように見えるから、余計に魅力が増したんだよ」
肩の力が抜けた……エリオット殿下にはバレバレなのね。
悪役令嬢として断罪されるはずだったのに、卒業パーティーでは全然違う展開になった。
マリーさまはあれからどうなったのかわからない。あの日を境に姿を見なくなったのよね。
――王妃教育で余裕がないから、そう思うのかもしれないけれど。