【完結】婚約破棄イベントが壊れた!
「早朝でも賑わっているだろう?」
「はい、すごい活気ですね!」

 どんなものが売られているのかな、とか、美味しそうな匂いがするな、とか、実際にこの目で見て回る。

 すごく活気が溢れていて、みんな楽しそうに買い物をしていた。

「カリスタに見せたかったんだ。わたしたちが守るべきものを」
「……殿下」
「おっと、今は『殿下』呼びはやめてくれ」
「……エリオット?」

 ふわっとエリオット殿下が微笑む。そんなに嬉しそうに微笑まれると、なんだか気恥ずかしくなってしまうわ……!

「行こう」
「はい」

 手を繋いだまま市場を歩いていると、いろいろなものが売られていて目移りしてしまう。

 野菜やお肉はもちろんのこと、小物までも売られていて驚く。

 そして、市場に集まっている人々の活気にも。

 みんなはこうして日々の買い物を楽しんでいるのね……となんだか楽しくなってきた。

 お金を持ってきていないから、見ているだけなのだけど。

 そんなことを想っていたら、エリオット殿下が串焼きを売っているお店で串焼きを買い、わたくしに一本渡した。

 それから、ジュースを売っているお店でジュースも。手を離してジュースもしっかり持つ。

「ベンチで食べよう」
「え、と、はい」

 ベンチも人気のようで賑わっていたけれど、空いているスペースにふたりで座った。
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