【完結】婚約破棄イベントが壊れた!
「そ、そうですわ! カリスタさまはいつも、マリーさまに淑女としての振る舞いを教えていました!」

 おおっと、誰かが参戦してきたぞ!

「そうです! それに、カリスタさまはわたくしがペンケースを落としてしまったとき、一緒に拾ってくださいましたわ! マリーさまは無視していきましたのに! というか、マリーさまがぶつかってきたのに!」

 それはマリーさまが悪いわぁ。

「ああ、確かに婚約者がいるのにやたらとべたべたしてきて、ちょっと……いや、かなり鬱陶しかったのを、カリスタ嬢が助けてくれた!」

 ……そんなことあった……?

 ねぇ、ちょっと待って。なんでそんなにわたくしが持ち上げられているの!?

「ほら、きみがしてきたことを、ここの学生たちはちゃんと理解しているんだよ」
「え、と……は、はぁ……。こ、こほんっ。マリーさま、これでご理解いただけましたか? あなたの(おこな)いは、この学園の学生として、相応しくありませんでした。己の行動をもう一度よく考え、反省し、淑女として恥じることのない行いをなさいませ」

 これ、公開処刑されているのマリーさまじゃない? おかしい、わたくしは華麗に婚約破棄される予定だったのに。

 はっ! もしかしてこのままいけば、わたくしが王妃エンドになってしまう! 待って、夢の平民生活は――!?

「ああ、やはりカリスタは美しいな。容姿だけではなく、その心すらも。ともにこの国を盛り上げていこう、カリスタ。わたしたちなら、それが可能だろう」
< 8 / 19 >

この作品をシェア

pagetop