【完結】婚約破棄イベントが壊れた!
 ちゅっ、と唇に柔らかいものが触れた。

 一気に顔を真っ赤にさせると、エリオット殿下が「やっとわたしのすることで赤くなってくれた」と嬉しそうに破顔する。

 そして盛り上がる会場。待って、ねぇ、待って! これいったい、なにエンドなの――!?

「ひ、ひと、人前で口付けなんて……!」
「もう一度してほしい?」

 光の速さで首を振った。

 というか、わたくしのファーストキスー!

 パーティー会場はもう、わたくしとエリオット殿下を祝福する場になっていた……

 マリーさまに視線を向けると、すっごく白けた顔をされた……見たくなかった、見たくなかったよ、マリーちゃんのその顔は……!

「あーもう、ほんっとうにばっからしい。やんなるわー……」

 そう言い残して彼女はパーティー会場から姿を消した……

 結局、わたくしは婚約破棄されることもなく、卒業パーティーは予定通りに行われ、エリオット殿下と一緒にダンスを踊った。

 それから、わたくしは自分でもおかしいと思うくらい、エリオット殿下を意識するようになってしまった。卒業してから接点が減るだろうと思っていたら、毎回パーティーに呼び出され、一緒に食事をしようと誘われ、むしろ接点が増えてしまった気がする。

 ……このままだとわたくし、本当に王妃になってしまうんだけど……!?

 それも満更ではないと思い始めている、自分が怖い……!
< 9 / 19 >

この作品をシェア

pagetop