借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜

プロローグ



「連れて参りました」



 安田さんは私を車から降ろすと、強面のおじさんの前まで私を案内してくれた。


 私は何も言わないで、頭を少し下げて一礼する。自分の黒髪がサラリと流れた。



「この子が鈴村和泉さんか……それで、両親は?」


「申し訳ありません、どこなのか検討もつかず……」



 安田さんは頭が地面についてしまうんじゃないかってぐらい頭を下げた。おじさんは強面の顔を渋くして、首を横に振った。



「しゃあねぇ、とりあえずこのお嬢さんを奥の間で休ませてやれ」


「へい」



 安田さんは私を手招きすると、目の前にそびえる洋館の裏側に回った。私は一言もしゃべらずについていくしかない。
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