借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「は?」
「昨日、キャッチボールして父さんの盆栽を壊したね?」
「み、見てたんですか……!?」
安田さんが顔を真っ青にした。それを見た黒髪の彼は「バカっ、なんで認めちゃうんだよ!」と大慌てだ。
「しかも瞬間接着剤で直してたよね?」
「そんなとこまで……!」
二人の顔がどんどん青くなっていく。他人事だからぶっちゃけるけど、面白いな。
「父さんにバラされたくなかったら──」
「なかったら、どうなんだ?」
ドスの効いた声が響いた。私も含めて全員が硬直し、一つの方向を見つめる。
八つの目の先には、あの強面のおじさんがいた。
「颯斗、本館に戻りなさい。凛斗、安田、後で話がある」
三人は「終わった……」と言いそうな絶望顔で、すごすごと廊下を歩いていった。その様子を見送ることもなく、おじさんは頭を下げた。
「見苦しいものを見せてしまったね……」
「いえ、大丈夫です」
居心地の悪さを感じていると、おじさんは手で椅子を示した。
「少し話しをしたいんだが、かまわないかい?」